キリエを歩く【ヤミィ】
くー
キリエを歩く【ヤミィ】
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目を刺すような夕日の光に目を背けた。お疲れ様でした…様々な声がヤミィを労い出ていった。閉店時間だ。少し準備をしたら夜のメンズサロンを開店する。
ヤミィが様々なものを失い、そして拾い上げ、創り上げてきた居場所と仕事、それらが紡ぐルーティン。夕日に照らされたキリエのサロンに1人、ヤミィは佇む。
どんなに楽しい時間も休憩する時が来る。どんなに魅力的な1日も夜が訪れる。物事には区切りがある。ヤミィはサロンの水場に向かい、個人ブランドのメイク落としで顔を洗った。光を放って揺らめく髪の下から、宝石の様に煌めく水滴を落とす…何も飾っていない己の顔。ヤミィは鏡を睨む。
「過去の事はまだ…でもいつかこうやって、化粧を落とすように、記憶の蓋を開かなきゃ行けない日が来るのよね…でも」
ヤミィは化粧道具を取り出す。
「私はね、今はまだ進まなきゃいけないの。待ってる人がいるの。守らなきゃいけない暮らしが、生き方があるの。必ずいつか向き合うわ。でも今は、愛する未来の為に歩かせてちょうだいね」
そう言うとメンズサロン用に、そして、そろそろ答えを引っさげて現れるであろう、あの人の為に化粧を施し始めた。
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クエストにお付き合い頂き、心から感謝致します。貴方の描いた美は何を輝かせましたか?
是非、貴方の答えを教えてください。その歌声にのせて…
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