古書屋敷殺人事件
🔍葉月彼方 ✒️茶川右響
古書屋敷殺人事件
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其ノ壱〜古書屋敷殺人事件〜
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🔍葉月 彼方(CV RAKKO)
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✒️茶川 右響(CV桐生りな)
https://nana-music.com/users/6037062
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🔍か か か 神田は神保町の横丁
駆け出しセドリ師
し し し 紙魚喰い 書店員に蔵書印
門前払いの書生さん
✒️あ あ あ 愛憎渦巻く愛蔵版の
旧家は代々収集癖だ
貧乏作家 坂 逆様 落花生
お家断絶 捜せ遺書 おいで名探偵
✒️奇々怪々 密室ごっこ
「🔍袋小路を袋とじ!」
✒️アリバイあり得ない犯行
「🔍あいつかあの子かフーダニット?」
✒️憐あわれ囚われ愛しのあなたを
迎えにゆこう
🔍✒️どの本か決めかねるなら阿弥陀
凛とした背表紙
ヤダヤダ遊びましょ 『しょっ』
禮『lie』 こんがらがった
🔍はやく助けて先生
✒️阿破破!
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如月家二階・菊ノ間にて
「師匠、師匠!見てください!これって、遺書じゃないですか?」
上擦った彼方の声に右響が振り向くと、眼鏡の奥から除く切羽詰まった瞳と、上質だがぼろぼろの紙面が目に入った。
「ふむ、これが生前大旦那が書いていたという遺書か。親族たちが血眼になって探しているという……どれ、拝見しよう」
紙の中身を覗き込んだ右響は、達筆な字をひとつずつ指でなぞりながら、ゆっくりと文章を読み上げていく。
「『一. 我死した後、財産は全額我が息子総一郎に宛てがうとす』……」
そこまで読み終えると、右響は首を傾げ眉根を寄せた。
「総一郎とは、誰の事だ」
「嫌だな師匠。さっき挨拶した親族の方の中にいらっしゃったでしょう?ほら、眼鏡をかけた、長男の方ですよ」
「ああ、あの男か」
「もう、師匠は本当に人を覚えるのが苦手ですね」
「仕方ないだろう、事件には興味があるが、人には興味が無いんだ。……ところで彼方、その遺書、何か妙だな」
「え?何処がですか?」
右響は、彼方から遺書を奪い取ると、紙を大きく広げて見せた。
「最後の奥付を見てみろ、大正三年七月となっている。この遺書は、数ヶ月前に書かれた比較的新しいものだ。……それにしては、紙の状態が悪いと思わないか。まるで誰かにくしゃくしゃに丸められた後のようだ」
右響の言葉に、彼方は思わず一歩後ずさった。ただの紙面だと思っていた遺書から、急に誰かの恨みの念が伝わってくるような気がしたのだ。
「し、師匠、それは、オレ達が見つけるよりも前に、誰かが一度この遺書を見つけていたということですか……?」
「まあ大方そうだろうな。単純に考えれば、長男に全財産が行くと分かり怒り沸き立った弟妹たち……長女、次男、三男のいずれかの仕業と考えるのが妥当だ。次は、長男の命が危ないかもしれないな」
「なっ……家族なのに、ですか?」
「人間とはそんなものさ」
右響は寂しげな表情を滲ませながら微笑むと、震える彼方の頭に優しく手をおいた。僅か十二の少年には、大人達のどろどろと重い思惑が、さぞ気持ち悪く感ぜられた事だろう。
(金の亡者が蔓延るような、腐敗した大財閥になど、連れてこなければ良かった)
名家には、決まってそれなりに大きな闇がある。それに染まり過ぎては行けない。この子のためにも、早く犯人を見つけて、この家から出なければ。
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