タロウ
読み手:
『タロウ』 ______________________________ クズだった。 多分終始クズだった。 酒とタバコと麻雀が一緒になって歩いている そんな男だった。 友達になるとその関係が崩れぬよう仮面を作る私。 彼には何故か必要なかった。 クズだと思っていたからか、 いつでもきれる関係だからか。 彼に対して仮面をつけるというカロリーは必要なかった。 彼との時間がするりと日常に染み込んだ。 彼女もちで、ぞっこんな癖に 彼は寂しがり屋で、かまってだった。 彼はヘラヘラと笑って、よく喋った。 彼の話は、突拍子もなくて面白かった。 私は笑った。笑いが止まらず、彼はたまに困っていた。 そんな彼にまた笑えたのだった。 ずっと笑っていた。 そんな日常がいつまでとは言わず、まだ続くと思っていた。 彼は急にいなくなると言い出した。 彼女のために金を稼ぐのだと言って。 十分不真面目に生きてきたから、 これからは真面目に生きるのだと言って。 私が送った、ハナビシソウを「こりゃあいい。」とヘラヘラと笑って、 そして消えた。 染み込んだ日常が私の心をえぐるのだった。 ______________________________ いつからか日常となった曖昧な「私」と「彼」の時間。 ______________________________ ちぃと申します。 久しぶりの台本投稿。 なんかいつもとは違う雰囲気になってしまったので、本人も動揺しています。 少し文章が短いかもしれません🙇♂️ 拙い台本ですが、よろしくお願いします。 みわたかさんから素敵な音源をお借りしています。 ありがとうございます。 https://nana-music.com/sounds/03bb7ca7 #声劇 #声劇台本 #一人声劇