創聖のアクエリオン
🐰アリア×🌱ドルチェ
創聖のアクエリオン
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「愛したもの すべて」
『失くしたもの すべて』
🐰×🌱 最終章【終局】
― 創聖のアクエリオン / AKINO with bless4 ―
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小さい頃、学校の図書館でドルチェと読んだ可愛い絵本。
2人の天使の優しくて、哀しいお話。
死ぬまで心に残っていたあのお話が、蘇った。
──────
『だから、私は貴方を殺したの。』
『...自分の為に。』
ドルチェは言ってしまった。
記憶を失った彼女にこの世界でも愛してもらう為に、1番言ってはならない"事実"を。
「…」
『…ごめんなさい。私は、ずっと貴女を…』
騙していた。隠していた。
汚い自分を。
漸く会えたアリアに嫌われたくなかった。
少しでも一緒に居たかった。
でも、それは許されない罪。
ドルチェは自分の罪を悔やんでいた。
天使になったアリアに初めて出会った時から。
『…きっと私のせいで、記憶と感情が無くなったんだと思うの。』
喉を震わせ、言葉を綴る。
『ごめんなさい。…ぜんぶ。』
『きっともう会いたくない、わね。』
アリアは表情ひとつ変えず、
こちらを見つめていた。
目を合わせると戸惑うように逸らされた。
──────────終わりだ。嫌われた。
思ったよりショックは大きい。
そうか、もうアリアに会えないこんな世界なんて…
『…決めたわ。』
涙を浮かべながらも、無理やりに微笑む。
『…ふふ、堕天使の分際で天使に恋をした罰かもしれないわね。』
『私、貴女に会えない世界なんて興味無い。だから…』
『罪を償う。』
堕天使は道楽も何も無い場所、勿論光さえも届かない████界で永遠の時を生きる事になる。
────────しかしそれは、前世の罪を償わない限りの話。
償いたい。
そう願えば命を失うことが出来る。
二度と生まれ変わることはないのだが。
闇の中を永遠に生きるか、罪を償うか。
これこそが堕天使に与えられた罰であった。
『きっと堕天使として生きていたら、また貴女に会いたくなる。』
『いいえ、会いたくなるだけじゃない。また…繰り返してしまうかもしれない。』
『それに、私はこの罪をどうしても償いたい。例え二度と貴女を愛することが出来なくなっても。だから…』
こうして話している間も自責の念にかられる。
自分が嫌で嫌で、仕方が無かった。
今すぐにでも消えてしまいたい。
そんな思いが頭を支配していたその時。
「…それだったら、」
「私も、ついていく。」
真っ直ぐな声がドルチェの言葉を遮った。
「…私にも、一緒に貴方の罪を償わせて。」
『…え?』
『私がしたことを分かって言っているの…?』
『私が嫌いじゃないの…?』
思いもしない言葉だった。
天使は、天界である一定の時を美しく生きればまた生まれ変わる選択肢を持つことが出来る。
自由が与えられている。
生き方を選択できる。
────────生まれ変わることに飽きれば、堕天使同様に消えてしまうことも。
今まさに、アリアはその選択をしようとしているのだ。
「私は、貴方の嬉しそうな顔が好き。昔の私のことを話していると、凄く素敵な顔をしてる。」
「貴方がしたことは分かった。でも、こんな表情、本当に悪い人がする訳が無い。それに、最初と違って何だか胸が暖かいの。」
「今はまだこの気持ちが何だか分からない。」
「…でも私は、一緒にいたいって思った。だからあなたが罪を償うのなら、」
「ついて行かせて。」
そう言って微笑むアリアはあの頃の笑顔を取り戻していた。
──────────
『アリア、本当にいいの…?』
頷くアリア。
2人は両手の指を絡めて座っていた。
願うだけで、その瞬間彼女等の存在は消える。
あれきり口を噤んだアリアは瞳を閉じてコツン、と額をドルチェの額に重ねる。
例え言葉をかわさなくても気持ちは繋がっている。そう言わんばかりであった。
2人はお互いの存在を確かめ合うようにただ見つめ合い、時間が過ぎていく。
例え身体が朽ち果てようとも、この愛しい気持ちが、暖かい想いが消えてしまわぬように。
しかし、夜明けは刻一刻と迫っていた。
願いを心の中で叫ぼうとした、その時。
アリアがこんなことを言った。
「…ドルチェ。あの絵本のこと覚えてる?」
「2人の天使のお話。」
『え、えぇ。勿論覚えてるけど、どうして貴方が…?』
「昔の全ての記憶は思い出せないけど、この話のことは覚えてる。毎日図書館で読んだから。」
「ドルチェと。」
『…確か、天界に愛し合う天使2人が居て…その中の1人が悪いことをしてしまって、2人でそれを償うお話。』
「それって、何だか私たちみたい。」
『…確かにそうだけど、私は堕天使だから…』
「違う。」
『え?』
「ずっと優しくしてくれたから…今のドルチェは私の天使。だから、堕天使なんかじゃないよ。」
『…ありがとう。』
あの日から自分を責め続けたドルチェ。
少しだけ、救われた気がした。
──────────
―罪を償いたい―
そう唱えると、身体が少しずつ薄くなっていく。
もう、お別れだ。
「待って、確か絵本で2人が消えてしまう時に言う言葉が…」
『勿論覚えてる。』
「…私も。」
2人はまた嬉しそうに顔を見合わせる。
「偉大なる大天使様。」
『私たちの罪をお許しください。』
「運命が2人を分かつとしても」
『私達は、お互いを』
「『 愛し、愛されることを誓います。 』」
朝日が完全に昇った瞬間、
2人の姿は小さな光の粒子となり、溶け合って消えていった。
──────────fin.
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―lyrics―
(2人)世界の始まりの日 生命の樹の下で
クジラたちの声の、遠い残響 二人で聞いた
(🌱)失くしたもの すべて
(🐰)愛したもの すべて この手で抱きしめて
(2人)今はどこを、さまよい行くの?
(🌱/🌱)答えの潜む 琥珀の太陽
出会わなければ 殺戮の天使でいられた
(🐰)不死なる瞬き持つ魂
傷つかないで、僕の羽根
(2人)この気持ち知るため 生まれてきた
(2人)一万年と二千年前から愛してる
(🐰)八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった
(2人)一億と二千年あとも愛してる
(🌱)君を知ったその日から
僕の地獄に音楽は絶えない
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―cast―
🐰アリア cv.ねむみ
(https://nana-music.com/users/8276750)
🌱ドルチェ cv.ほしぞらまや
(https://nana-music.com/users/7016267)
🐰×🌱
https://nana-music.com/sounds/0541d848
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―tag―
#ANGELUNA #創聖のアクエリオン
#アリア #AKINOwithbless4
#ドルチェ
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素敵な伴奏をありがとうございました✨
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