D90 膝丸
紫苑本丸
D90 膝丸
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#紫苑本丸
今日は兄者と共に審神者救出の任務に出る予定だ。
兄者はこの任務の後政府の刀の役を降りある本丸へと配属される予定で俺とは最後の任務となる。
「それじゃあ…行こうか。」
「兄者、急ごう。」
今こうしている内にもう現場に遡行軍が着いているかもしれない。
ー
現場に着くと…、鼻がツンとする匂いと血が広がっていた。
「……お願い、この子だけはっ…。」
目の前で泣き叫ぶ血だらけの母親が赤ちゃんを兄者に差し出して言った。
「私は…どうなってもいいからこの子だけは…!!」
兄者はとりあえず赤子を片手に受け取り、もう片手に刀を構えた。
「もう大丈夫だよ。」
「兄者…ここは俺に任せて早くその子を!」
「うん、頼んだよ肘丸。」
「膝丸だ!」
最後の最後まで間違うなんてさすが兄者だな。
「相手は俺だ…!」
赤子の両親は致命傷ではあるが急げば間に合うかもしれない…早く終わらせないと。
ー
全てが終わった頃、赤子の両親の方を見るともう息絶えていた。
「…助けてやれなくてすまない。」
人の命は脆く、短い物。
接点などはないがやはり切ないもので、守れなかったことに悔しさを覚えた。
せめて…と思い部屋に飾ってあった写真を持ち帰ることにした。
あの赤子に今後会うことがあれば渡してあげよう。
横目で赤子を見ると…とても綺麗な黄色の瞳をしていた。
この瞳は……今何を写しているのだろうか。
ー
「ん…。」
嫌な夢を見た…。
背中まで汗びっしょりで下着が肌に引っ付いている。
「嫌な予感がするな。」
嫌な予感とは……、今までに政府に居たときに何回もあったが一回として外れことはない。
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