ゲバラとエビータのためのタンゴ〜2020年の黙示録〜
宮沢和史
ゲバラとエビータのためのタンゴ〜2020年の黙示録〜
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アルバム『MIYAZAWA』より。
といっても、『ゲバラとエビータのためのタンゴ〜2020年の黙示録〜』という事で、このサウンドの詩の大半は私の創作です。あしからず
まず、原曲について。
シングルはcobaのタンゴ調で、あれも好き。歌手であり詩人でもあり、朗読家でもある宮沢氏のひとつの集大成。2001年までに起こった事件や社会情勢について、宮沢氏の視線でもってシニカルに風刺されている。
ただ、ニヒリズムに陥っているわけでなく、人間の可能性や希望を最後に記している。それこそが“MIYA the world”。この一曲だけで、宮沢氏の創作思想の根幹が感じられると私は捉えている。
昨年の宮沢氏の音楽活動再開に際して、この作品の2019年版をステージで芸人で作家の又吉直樹氏と共演している。
ソフト化されておらず、コンサートに参加した人だけが聴けたその2019年版の内容をやっとの事で入手したのでここに記す。
《ゲバラとエビータのためのタンゴ
〜2019年の黙示録〜》概要
仮想現実⇒SNS
福島の原発
反グレ
海亀プラスチック問題
児童虐待
煽り運転
マスコミが反社からネタを買っている
等々
とりあえず、こんな感じだったらしい。又吉直樹氏はかねてよりTHE BOOMのファンで、芥川賞を授賞する前から、宮沢氏の歌詞を題材にしてトークしてた。その話はまたいつか、その楽曲を私が表現する時にでも。
あと、私個人の思い入れとして、大学の作詩の講義に参加した時に、「読みたい詩がある」と言ってこの詩を朗読させてもらった事がある。まぁ…課題が出来ていなかった言い訳でもあったがw。
この詩と向き合うのは、それ以来だ。
《私の詩の創作について》📝
志村けんさんが新型肺炎で亡くなった日に、COURRIER JAPONでの宮沢氏の連載コラム『ことば永遠(とわ)』が更新された。
内容としては、マザー・テレサの「あなたの中の最良のものを」という言葉を題材として、新型肺炎蔓延による混乱や人間の本性と未来について語っているものだった。
そのコラムの結びの言葉「今、人類は生まれ直す機会を与えられているのだ」を読んだ時に、「あぁ、これはもう『ゲバラとエビータのためのタンゴ』の今だ❗」と感じ、私の中から沸々と言葉が湧いてきた。
以下は、その時に私の頭に浮かんだ詩をまとめたものである。
『ゲバラとエビータのためのタンゴ
〜2020年の黙示録〜』
ゲバラとエビータのためのタンゴ
2020年
大友克洋の予言は的中していた
政治 経済 学校教育
家族の絆は崩壊し
人類は非常事態宣言の中に
封じ込められてしまった
横浜の海では帰国した姫が
ダイヤモンドの靴を履きあぐねいている
埼玉では6,500人の観戦者の野次と
ウイルスが飛んでいた
富める者はハーメルンの笛を吹き
ドブネズミを率いて別荘に向かう
我が国の総理大臣は家なき者に
生肉を贈ろうとしていた
マスコミは司祭の如く神の断罪を説き
恐怖を煽っている
神はフラッシュの光を浴びて
疾風のように逃げまわっている
風通しの良い社風のオフィスには
人が誰もいない
スーパーの棚は“自制”だけが売れ残っている
バカ殿が天から「大丈夫だ」と囁くが
8時になっても集合はできない
全ての診察は長引いている
我が国の総理大臣は目と耳にも
マスクを着けていた
誰もが正義の味方の不在を嘆いている
子供達のあこがれのヒーローも
床に伏せってしまった。
ゲバラとエビータを呼び覚ませ
2人のためにタンゴを奏でよ
マザー・テレサに不死鳥の血を
フレディとマイケルを連れ戻せ
二人のためにバンドを集めよ
無観客席には
永久に消えることのない
ろうそくの灯し火を
世界にワクチンを
北朝鮮に自粛を
EU諸国に希望を
トランプには浄化の切り札を
銀の翼に風を
ライブハウスに光を
厨房に暖かな火を
夜の街に乾杯を
医師に安息日を
愛する者に安らかな息を
子供らに花束を
年寄りにゆりかごを
すべての人の心に花を
この社会に再起動を
歴史を巻き戻すチャンスを
我々にもう一度チャンスを
我々に生まれ直すチャンスを
…という感じ。
原詩の節回しをなるたけ取り込んで、私なりの『ゲバラとエビータのためのタンゴ』を表現してみた。
あまり解説するのは野暮だが少しだけ。
“非常事態”か“非常事態宣言”かで悩んだが、前者は状態であり後者は記号として独り歩きしている恐怖概念だと捉えて、後者とした。語呂も良いし。
この詩を書き出した時は、志村けんさんの死がとにかく悲しくて。日本の喜劇英雄だった彼の死を悼む気持ちを、作詩して朗読することで昇華したのであった。
当初は朗読した部分だけの作詩だったが、録音時間の都合上でカットした分もちゃんと残そうと思ったら、追加追加で倍以上になっちまった。
扱ってる題材が日々深刻化している日常だけに、精神的に疲れた。でも、やりきれて良かった。感無量。
《ベースtrackについて》🍄
まず感謝したいのが、先日の浜松うなフェスで交流のあった桃乃瀬きのこさん。
かねてよりこの『ゲバラと〜』をnanaで表現したいと思ってはいたけど、そのベースとなるtrackがなかなか見つからなくて。
で、この機にきのこさんのオリジナルtrackを聴かせてもらったところ…あった❗。この楽曲を表現するに、ここまで最良のサウンドがあるとは❗。雑踏のノイズからの緊張感、サビもしっかりある。期待以上で歓喜した。
ちなみに、原曲はこんな感じ。
https://youtu.be/JjjC-jIuKi4
この親和性。「きっとこの人なら❗」っていう、なんか…感性の勘みたいなものがあったんだよね〜。これもまた“縁”と“機”の導きかしら。本当に感謝です。
《語り入れについて》🎤
前に『手紙』をやってはいるけど、あれは台詞であって今回は朗読。もう全然違う。本気でやったら、すぐ酸欠になる。朗読って奥深くて難しい。かなり苦戦した。
宮沢氏の語りのような深みが欲しくて、音ズレ調整を-20にしてる。その上でベースtrackにタイミングを合わせるので、入りをコンマ何秒か早くしないといけない。これが超ムズい。
それらを意識しながら、滑舌と発音の理想を追求する。また、言い間違いがないように注意し、90秒以内に収めないといけない。
今回、言い間違いで最も躓いたのが、冒頭。何度も「エビータめの」と言ってしまう。「海老炒めかよw」とツッコむ余裕もtakeが100を越える頃には焦りと苛立ちに変わる。
“豚バラと海老炒めの団子”とか考えたら止まらないw。「ゲビタ」って言い間違えた時は、もう頭に酸素がまわってなくて流石に休んだ。
奇跡的にこのtakeが完成したが、ブレスが変なとこで入ったり、語尾が小さくて聴こえ辛かったりで、後々録り直そうとした。けれど、さらに100takeやっても納得いかなかったので、これで納得することにした。
素晴らしいオリジナルtrackにて朗読させてくれた桃乃瀬きのこさん、ありがとうございました。
桃乃瀬きのこさんの感性を知ったのは、THE BOOMのある楽曲の解釈の根幹をなす言葉を取り上げていたのをたまたま見たからで。それはまた必ずここで表現したいと思う。
《最後に》🕺💃🎼
改めまして、志村けんさんに謹んで哀悼の意を表します。
日々情勢が変わるので、なかなか詩が完成しなかった。キャプションももっと早くに書き終えたかった。
ぶっちゃけた話、私の表現の手もいつ止まるかわからない。“ヤツ”はもう近くまで来てる。負けてたまるか。
※カバー画像は、バカ殿と地球の拾いイラスト。
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コメント
24件
- とと
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- とと素敵です!毒が効いてて良いです!!
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- トミヤマコ
- トミヤマコ
- ぴょんぴょん☆彡
- ぴょんぴょん☆彡
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- トミヤマコ
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ぴょんぴょん☆彡ニヤさんとミヤさんの世界観、ミックスして 何だかザワザワしたよw ほんと上手く今の世の中と詩の世界が表現されてる👏🏻👏🏻👏🏻 素晴らしかったです😊
- トミヤマコ
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆
- kanako
- トミヤマコカッコよすぎ、ニヤさん! こんな歌詞も書けるなんて😭 宮沢氏に聞かせたい!!
- ニヤ☆ゆっくり聴きnanaさせて下さい〜💦☆