正しさを気取っている。前半【朗読してみた】
最果タヒ
正しさを気取っている。前半【朗読してみた】
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#最果タヒ #朗読してみた
友人からのリクエストで
最果タヒさんの作品を一部朗読しました。
1分半におさまるようにところどころカットしてます🙃
大和書房、最果タヒ、で原作が読めます。
『正しさを気取っている。』/最果タヒ
一部抜粋 前半
…腹が立ったことを伝えても、「こういう事情もあるんだよ」とか「一方的に悪いとは言えないよね」と諭されてしまうのが恐ろしかった。すべてを隅々まで把握して、何事にも平等に判断するのは必要なことだと思う。でも、湧いてしまった私の怒りや悲しみとは、正直関係ないことでもあった。
…感情のざわめきを後回しにして交渉する間、私の傷口は確実に膿んでいく。未来がどれほど良くなっても、私のあの瞬間の苦しさは変わらないのだ、あのときの自分のために、私は喚いて泣くべきだった。泣いたってなんの意味もない、とか、とにかく落ち着け、とか、言われる意味がわからない。…傷つけられたり傷つけたりする、その当事者が、最初から平等でいられるわけもなく、冷静でいられるわけもなく、客観視できないような渦に飲まれたからこそ苦しいんじゃないのか。
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