キリエを歩く【アグル】
くー
キリエを歩く【アグル】
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冷え込みが一層厳しくなる深夜。季節外れの蛍の火…ゆっくりと地面に落ちて、煙と共に踏み潰されて消えていった。
「気付くと長居してたなぁ…普通に生きるっつーのは、こんな暖かさなんかねぇ…?」
煙を吐きながらいつもの様にニタニタ笑うアグル。しかし、その笑顔は何処と無く哀愁が漂う。さみぃ…と空に悪態をついて震えるが、窼には戻らない。どうも寝付けない…ざわつく心が居心地悪いようだ。
裏稼業の資金源集めに、適当な協力者を見つけ出して、仕事を斡旋する。それが半神であるアグルの仕事。街を巡っては、闇に紛れて世界を動かす手筈を整える。身元がバレだしたら、のらりくらりと拠点を移動する。キリエもまた、その一環で訪れていただけだった。…そのはずだった。
「あー、ここのサンドイッチもう暫く食えなくなんのかぁ…買いだめしとかねぇとな」
ニフや、街の人間には良くしてもらった。しかし、そろそろ理事会やアヴァロンをはじめとした各国の軍や警察団体に居場所がバレ始めたと警告が届いた。もうここには暫く居れない…それがなんだよ?いつもの事だろ?分かっていても、思いと皆の顔がチラつく。
「にゃーん」
スノウがアグルに距離を置いて近づくと、鋭い目で飼い主を見据えた。
「…わーってるよ!ほんと皆世話しねぇんだから嫌になるぜ…うだうだしてても仕方ねぇか…!」
静まり返る冬の闇夜に一瞬美しい炎華が舞った。
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クエストにお付き合い頂き、心から感謝致します。日の当たらぬ世界で灯は見つかったでしょうか?
是非、貴方の答えを教えてください。その歌声にのせて…
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