【声劇】放浪者<ソロプレイ放浪の剣客版>
THE ORB OF VOID
【声劇】放浪者<ソロプレイ放浪の剣客版>
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ダークファンタジー声劇台本 ソロプレイ放浪の剣客版
・・・・・
夜更けの麓の街の宿に
一人の男が足を引きずり戻ってくる。
傷を得て名を棄ててこの街を去った
男の行方は杳として知れない。
<豪商>
こんな遅くにお帰りとは。
傷の方はすっかり宜しいのですかな、百人隊長殿。
<放浪の剣客>
退官してきた。
もう軍人ではない。
<豪商>
退官?はて、どういう風の吹き回しです。
<放浪の剣客>
あんなガキに情けをかけられて何が百人隊長だ。
思い出すだけで反吐が出る。自分の弱さにな。
俺はもう一度、己の武を究める。
世話になった。
<豪商>
左様で。
それでは出立に際し、若者を一人
南方の領主の館まで護衛していただきたい。
<放浪の剣客>
俺に指図するのか?
<豪商>
いえいえ。滅相も。
では……本日までの宿泊費と
肩代わりいたしました治療費を
すぐにご精算願えますかな?
<放浪の剣客>
……法外な値段を吹っかけるじゃないか。
<豪商>
あいにくスウィート・ルームしか空きがありませんで。
それに、腕の良い医者を連日呼びつけましたからな。
もし護衛を引き受けてくださるのであれば
ご精算は、お戻りになられてから、でも構いませんが。
<放浪の剣客>
どこまでも食えない狸だ。
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