「開店準備中 0...?」
秘密結社 路地裏珈琲
「開店準備中 0...?」
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夜間飛行と洒落込むには、絶好の満月であった。
分厚い羊の群れか、はたまた綿菓子か。凪いだ雲海の夜空を、のんびりと征く飛空挺は、それぞれの期待をめいっぱい積んで、とても機嫌良さそうに見えた。
夜が明ければきっと、最初の目的地、時計の城が目の前に現れるだろう。はじめての到着アナウンスに向けて、Tちゃんがモニターの中でせわしなく滑舌のトレーニングを行なっている。
さぁ、もうじき始まる新しい冒険に、心を踊らせ一歩を踏み出す時が来る。
そう、言いたいところなのだが...
ひとつ、ぜひ忘れていただきたくない事がある。
あなた達は、秘密結社路地裏珈琲の一員。
みんながみんな、数奇な運命の元に集ったり、ちょっと不思議な力の持ち主揃いで、なんの縁あってか、サトウと出会って以来とんでもな話題には事欠かない。
それは決して、あの街だったから起きた、なんて事は無いはずだ。
この世の喜怒哀楽全てを楽しむ素質をもったあなた達だから、呼び寄せたのだ。
つまり、雲の上だろうが海の底だろうが、根本的には変わらない。
珈琲屋には、トラブルがつきもの。
「みんな、御機嫌よう!Tちゃんよ!!こんなアナウンスが、はじめての館内放送だなんて不本意だけれど......緊急事態だわ」
“3時の方向、9時の方向に、無数の飛行物体を確認。”
※ Continue ※
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