あなたの世界を見たい
演者:貴方様のお名前 奏者様:みわたか
あなたの世界を見たい
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アンコールが鳴り響くその場所は
彼の独壇場なのだ
ほんの一握りしか手に入れられない
そんな至高で酔狂な場所
妬ましくないわけがない
同じ場所にいるのに、いたはずなのに
彼だけが独り占めして行くのだ
ずるいじゃないか、羨ましいじゃないか
一面が彼だけに染まって
彼の大好きなものが溢れて
彼の世界が押し出されて
それで、それから、彼が来る
一国の王様のように優雅な足取りで
魔王を倒した勇者のような勇ましい振る舞いで
はたまた、可憐で煌びやかなお姫様みたいに舞って
そして、民衆を動かす指導者の声で語り出す
その世界は彼にしか見えない綺麗な世界
決して誰も彼もが覗くことのできないはずの世界
それが彼の口から溢れる言葉で音で
彼の世界を視れるのだ、聞けるのだ
はじめは私もそこにいるつもりだった
それなのにいつのまにか置いてかれた
追いつけなくなった
常に変化する彼に私は追いつけなかった
だから私は彼のそばにはいられないのだ
彼の近くにいるのは彼だけが選んだ人
彼の近くにいれるのは彼に選ばれた人
そこに、私はいない
彼に追いつけない人はみんな彼を妬むから
羨んで卑怯だと罵るから
私は彼が好きでそんな彼を
嫌いにはなりたくなくて
だから彼から離れた
追いつけなくなったのは自分のせいなのにね
それでも彼を愛していたから
彼の世界を愛しているから
これからも語る彼を私は
見ることしかできないから
だから、どうか彼から離れないでね
離れた私が言えることではないんだけどね
*:..。oƒ *:..。oƒ *:..。oƒ *:..。oƒ *:..。oƒ
世界を見たいけど見れないや
隣にはもういられないんだろうね
どうか幸せになってね
自分の世界がある人ってすごいですよね
そんな人の世界を見てみたいなあ
と思った台本です
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