【声劇台本】揺らぐ
さいころん
【声劇台本】揺らぐ
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第五作品目です。
暑いですね。どうも。
朝昼の蝉の声の残響が、夜にも頭に流れるこの頃。
平和に感けた私たちは、これから起こりうることに、
何の考えもなく生きている。
そんな日常と非日常の交差するワンシーンを台本にしてみました。
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【セリフ】
いつしか、僕は座り込んでいた。
夏の日差しにあてられていた。
雲ひとつない晴天。暑すぎる。
初夏ながら、外気は体温ほどに感じた。
ここでずっと道草を食うわけにはいかない。
帰らなければ。
そう思って立ち上がり、歩き始めた途端、
目の前の景色が、揺れた。
きっと暑さに目が眩んだんだろう。
今日はいつもより疲れているんだ。
それか、暑くて陽炎がのぼったんだろう。
そう思い、再び重い足を進めた。
今日の街はいつもと様子が違う。
人々は慌てふためいているような感じだ。
何だか、遠くから奇声が聞こえるし、
怒号や嗚咽も、飛び交っているようだ。
混凝土を踏みしめて歩く僕はまだ知らない。
この暑さが、初夏のせいでないことを。
この揺らぎが、眩暈のせいでも、
陽炎のせいでもないことを。
この先に起こる、未曾有の出来事のことも。
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前作…【声劇台本】表裏
→ https://nana-music.com/sounds/04eb4451
次作…
コメント
2件
- ❦テヲ⍣☽·̩͙🪽お借りしました! ありがとうございました🙇
- ねも台本、お借りしました。物語に引き込まれ、先が気になる素敵な台本でした(´∀`*)