「少年少女とマスター代理」(星干し完結)
秘密結社 路地裏珈琲
「少年少女とマスター代理」(星干し完結)
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星干しさんのアンサー↓
https://nana-music.com/sounds/04ee2bef
「ヤキモチ妬いちゃったの?」
「......うん、でもそういうの男らしくないと思って、黙ってたんだ。そしたら彼女、俺が嫌いになっちゃったと勘違いして」
青少年の恋愛とは、まるで水辺に咲く柔らかい花のようなものだと思った。真っ直ぐで純粋、臆病で傷つきやすく、とても短く儚い命。うっかり触れたら折れてしまいそうな、彼の不安定な心に寄り添うのは、少々難しい。
ひとしきり話を聞いてやったところで、星干しはいよいよ、腕組みを解いて身を乗り出した。
「君は、自分が何故そんなに苦しいか、わかるかい」
「......彼女に、嫌われたくないから?」
「惜しい、彼女に好かれたい、好きな人に好かれたいからだよ。君は今、愛する事に一生懸命になり過ぎている」
ハッとした顔の少年は、勢い良く立ち上がって鞄に手を掛けるが、足が僅かにすくんで、まるでぬかるみに埋まったように一歩が重い。そりゃそうだろう、好きだからこそ、心も体も慎重になる。
想いは目にこそ見えども、少年は全身全霊、彼女を愛しているのだと、星干しは確信し、カウンターから飛び出した。幸いここ路地裏珈琲、お困りの人には必ず手を差し伸べる。
「お姉さん...」
「その心意気、しっかり受け止めたからね!ちょっとおいで」
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※少年少女とマスター代理、続きます
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