「基本はビラ配り」(星干し短編)
秘密結社 路地裏珈琲
「基本はビラ配り」(星干し短編)
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「......大丈夫?チラシ持ったね?」
「この通りだよ」
「スマホは持った、財布オッケー、もしもの為に防犯ブザーもぶら下げといたし」
僕は娘を遠足に送り出すお父さん同然、落ち着きなく彼女の手荷物を指さし確認して回った。
「マスター、子供じゃないんだから」
「ほしこちゃん見てると、妙に落ち着かなくなるんだよ。ほら、僕も君くらいの子がいたっておかしくない歳だろ...多分」
お互いに、“実際のところ、こいつは何才なんだろう”っていう疑問が顔に書いてあった。
ビラ配りだ、本当になんの変哲もないチラシを、僕は星干しに握らせた。元々素直で肝の座った彼女なので、分かったと一言返ってきただけだった。
「めいっぱい、愛想振りまいて来るんだよ。今日は帰ってくる頃、スズキさんがきっとパフェの試作してるから、一緒に邪魔しに行こう」
「一仕事終えたあとのパフェ、悪くないね」
僕は星干しの背中をトンと押して、元気に出て行く後ろ姿に......やっぱり、ちょっとだけそわそわした。
今日は半日、落ち着かない。
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オーダー:お好きな曲を
※曲のイメージによって、色んな人が来客します
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