【声劇台本】不在の声、あるいは愛

作･衣更着りん／『私』･■■／『猫』･■■

幻想は消え 生身の死が ただそこに横たわる 音楽◯ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調（演奏･音の旅人 ミュゼヴァ さん） ↓ご自由に タイミング参考用にもどうぞ🏋️‍♀️ 『私』のみ http://nana-music.com/sounds/02533223/ 『猫』のみ http://nana-music.com/sounds/02514202/ すぺしゃるさんくす https://nana-music.com/sounds/025287aa/ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『私』（19）女。わけのわからないまま 見知らぬ洋館で『猫』をさがす 『猫』（19）女。『私』を翻弄。館のどこかにいる ※男声女声関係なくどうぞ。せりふはそのままにしていただけるとうれしいです。恐縮ですが変更や付け足しはご相談ください🙇🏻‍♀️ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 『私』（だれかがさようならと言っていた 私にはその顔が見えない） 『猫』「ma chérie（マ･シェリ）、 三つかぞえて、はじめましょう」 『私』（嵌め殺しの格子窓を とらつぐみが飛んでいく） 『私』（子供部屋、散乱した椅子） 『私』（地下室、書庫、裏庭、劇場） ――『猫』『見つかっちゃったわね。あなたの勝ち』 （※『私』、走ってきて息切れぎみ） 『私』「……っあなた…、だれなの？」 『猫』「私のことがわからないの？」 『私』「分かるわけ、ないじゃない――」 『猫』「私は、『猫』」 『私』「……猫……？」 『私』（死者を表すのによい言葉は、 不在だろう。けれど） 『私』（ママが買い物に行って 帰ってこないのとは、きっと違う） 『私』（では、何が違うのか） 『猫』「死骸は純白のシーツのしたに隠されて、 人は亡霊の声を聞く。 私のリボンをあげるわ、 ほら、あなた、とても似合ってる」 『私』「……っ」 （※わかっていて訊く） 『猫』「…どうして泣いているの？」 『私』（だれかがさようならと言っていた あなたがここにいないこと そうして優しい嘘だけが遺される） 『猫』「きょうはいい一日でしたか？ あしたも、いい日にしてください」 『猫』「Au revoir（オ･ルヴォワール）、わたし」 （※ノイズが入り演奏が切れます。 言い終わらなくてもそういう演出っぽくなるかも） ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ブルーシートのしたの死体をみてしまっては、幽霊の声を聞くことはできないんですね 幻想はそういう微妙なはざまに生起するのだと思います そしてそれはなんとかして生きるためなのだとも思います 関連（読まなくても問題ないです） https://nana-music.com/sounds/0362e873/ ほか書いたもの http://nana-music.com/playlists/1189883/ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ #声劇 #声劇台本 #台本 #掛け合い #コラボ用 #朗読