ボカロPさん突撃インタビュー vol.004 煮ル果実さん 〜わずか2年で第一線のボカロPに!泥臭くも生きる人間讃歌をボカロ曲に乗せて〜

Jul 03, 2020

nanaにアカウントをお持ちのボカロPさんに突撃インタビューをしていくこちらのコーナー。

最近は有り難いことに色々なボカロPさんがアカウントを開設しオフィシャル伴奏を投稿してくれるようになってきたのですが、その中でも目立ったのは「煮ル果実」さん。

編集長K、恥ずかしながらnanaで初めて曲を聴いたのですがとても印象的な曲で衝撃を受けました。加えてこのお名前、そしてアイコン!

これはインタビューさせていただくしかないということで、お忙しいところzoomインタビューのお時間をいただくことができました。音楽的背景やオススメ曲、そしてお名前の由来など伺ってきましたので、ぜひご覧ください!

目次

音楽制作開始からわずか2年!驚異的スピードで第一線ボカロPへ。
怖いながらもワクワクした初投稿曲「アンドリューがいったから」。
表現したい世界観は泥臭くても生きている人間讃歌。
大好きでありつつも縛られない「ギターとベース」。
ご本人アカウントのきっかけは?〜後ろめたさを持たずに楽しんでもらいたい〜
なるほど納得、名前の由来。とにかく面白いことをやりたい!

音楽制作開始からわずか2年!驚異的スピードで第一線ボカロPへ。

編集長K(以下K):今日はお時間頂きありがとうございます、zoomインタビューということでご不便おかけするところもあると思いますが、よろしくお願いいたします。

煮ル果実さん(以下「煮」):こちらこそ、よろしくお願いします。

K:さて早速ですが、ボカロPとして活躍されている訳ですが、音楽はどのようなきっかけで始めたんでしょうか?

煮:小学校の時に音楽が好きな友達がいて、その友達といろいろ遊んだり音楽聴いたりしている中で「自分でもやってみたいな」と思ったのがきっかけです。具体的になにかをやろう!というのは全然なかったんですけど(笑)。

K:なんとなく音楽いいな、みたいな(笑)。

煮:そうそう(笑)。

J-POPの有名どころを教えてもらって一緒に聴いてました。

K:昔ピアノやってたとか、そういうきっかけでは無いんですね。

煮:エレクトーンはやってました。結構長いこと習ってたんですけど、その時は弾かされてるというか、習わされてるという感覚で。音楽はエレクトーンを通じて昔から触れてはいたんですけど、いいイメージではなかったですね。

能動的に音楽に入っていったのは、その友達がきっかけだったかなとは思います。

K:で、その友達とバンドをやる、みたいな流れですか?

煮:いや、全然(笑)。

その友達とはそのまま学校変わって離れてしまって。でも僕は音楽やりたいという想いはずっとあって、その後コピーバンドを組みました。

コピーしていくうちに自分もミュージシャンになってみたいという想いは強くなったんですけど、どうしていいかわからなくて。ボイスメモで鼻歌録音したりしていました。

K:作詞作曲マインドはだけは強くお持ちだったんですね。

煮:でも楽器入れる方法もその先どうしたらいいかも全然わからなくて。

K:ちなみにバンドではどのパートを担当していたんですか?

煮:ボーカルだったんですけど、楽器もやってみたいなとは思って、学校に置いてあったギターを弾いたりベース弾いたりしてました。

で、同じ頃にボカロと出会って、それが最大の転機でした。

K:そのボカロ曲はどの曲か教えていただくことはできますか?

煮:「カゲロウデイズ」です。聞いた時に価値観が変わりました!カゲロウプロジェクトのじんさん(自然の敵P)との出会いはとても大きかったです。

物語とか書くのも結構好きだったんですよ。小説とか読むのも好きだったし。漫画を作るとか、そういうのにも興味があって。

なので、ボカロから派生してそういう色々なジャンルの作品をやりきってるところに衝撃を受けました。世界観に影響を受けて、自分もボカロ曲作ってみたいなと思うようになりました。

K:おおー!カゲロウデイズでしたか。じゃあそれで感銘を受けて一気にボカロPへの流れが加速していく訳ですね!

煮:それがそうなったらすごいキレイだったと思うんですけど、どうやったらいいかわからなくて(笑)。その後ちょっと間が空いたんですよ。怖さとかもあって踏み出せずにいたんです。

K:間があいちゃうんですね(笑)。煮:

そうなんです。その間はボカロ聞いてはいたんですけどそんなに熱心ではなくて。

で、その後また違う曲に出会うんですよ、バルーンさんの「シャルル」っていう曲があって。

K:シャルル!

煮:それでまた加熱したんですよ。「もうわからないとか言ってる場合じゃないな」って思って(笑)、調べてちゃんと曲作ろうってなって。それが2年前くらいです。

K:ということは、ちゃんと勉強して気合入れて曲作り始めてから2年しか経ってないんですか?それはすごいですね、、、!

煮:始めるまでがすごい長かったですからね。じんさんとバルーンさんとの出会いがあって、ボカロPになったという感じです。

K:お二方には実際にお会いになったんでしょうか?

煮:じんさんにはお会いしました。じんさんもそうなんですけど、ボカロP界隈って話やすい人が多くて。昔は個人で音楽作ってる職人タイプみたいな硬いイメージだったんですけど、実際はそんなことなくて。

K:確かにイメージはつかみにくいですよね、皆さん顔出しもしてないので年齢も性別もわかりませんし。昔は年齢上がったらデビュー厳しい業界、ある程度年齢縛りがある業界っていうイメージでしたけど、ボカロ界隈は本当に色々な人がいて、個人的には大人になっても夢があるいい場所だなと思ってます。

煮:そうですね、夢がありますね。僕もいくつになっても音楽していたいと思いますし、実際にできると思います。昔のイメージはどんどんなくなっていったらいいなと思ってます。

怖いながらもワクワクした初投稿曲「アンドリューがいったから」。

K:いやしかし、2年の間にこのたくさんの曲をリリースしたっていうのがすごいです。

煮:「アンドリューがいったから」という曲が最初だったんですけど、1曲目以降、この2年の間に色々なインスピレーションを受けて曲のアイディアがどんどん湧いてくるっていう感じでした。好きなアーティストもたくさんいて、本当に色々なところから影響を受けました。

K:最初の曲を投稿する時の思い出みたいなものはありますか?

煮:とにかく何をしたらいいのかわからなくて(笑)

ボカロ投稿するなら絵は絵師さんに頼んで、その絵をベースにしたリリックビデオみたいな感じでいいんだろうなと思って投稿しました。最初のボカロ投稿だし初音ミクがいいかなって思って、ミクで作りました。

※絵師さん:ボカロ関係のイラストを描くイラストレーターさんの呼び名。古くは浮世絵や版画などの伝統芸能の絵を描く職人さん。

K:色々なことがわからないながらも調べて試行錯誤して、やっとたどり着いた念願の初投稿だったんですね。

煮:もう本当に緊張しました。みんなが何を言ってくれるんだろうとか。怖いなと思いながらもワクワクしていました。

K:ボカロ投稿の場合は動画も大変ですよね。曲だけ作ればいいというのもでもないのが大変。

煮:そうですね、大変でした。

でも動画もボカロ文化の大切なひとつの要素だと思っているので大事にしたいなと。聴覚だけじゃなくて視覚の部分についてもこだわって、はじめてひとつの作品になるというか。

最初の時からですけど、動画は今でも大事にしたいなと思っている部分です。

K:そうですね、曲だけの文化ではないというのは確かにそうだと思います。煮ル果実さんの動画も見ていると引き込まれるものがあります。

2年で10曲を超える曲を投稿されている訳ですが、1作目の「アンドリューがいったから」以降、何曲目くらいで再生数が伸びたんでしょうか?見たところではニコニコ動画の再生数が最も多いのは「紗痲」かなと思うのですが。

煮:そうですね、8作目の「紗痲」で初めてニコニコ動画で殿堂入りしました。絵師さんのWOOMAさんっていう人との2回目のコラボ作品なんですけど、動画のキャラクターや物語もすごく良くて評判がいい作品です。

K:なるほど、コラボ作だったんですね!ブレイクしたのが「紗痲」ということなんですが、「紗痲」では何かとっておきの仕掛けみたいなものはあったんでしょうか。

煮:コラボ作ということで、WOOMAさんとお互いに刺激しあって良い作品ができて、結果的に再生数が伸びたのかなとは思っています。この曲以降、歌詞も重視して聴いてくれる人が増えました。本当に色々な景色を見せてくれた作品です。

表現したい世界観は泥臭くても生きている人間讃歌。

K:確かに煮ル果実さんの曲は歌詞が印象的ですね。

煮:歌詞、言葉は大事にしたいなと思っているので、歌詞を聴いてもらえるようになったのがすごく嬉しかったです。今でも歌詞はすごく大切にしていて、聴いてくれた人が考える部分を残して作っている感じなので、ぜひ歌詞を聴いてもらいたいです。

K:独特の世界観を感じるのですが、曲を通じて表現したい世界観、共通のコンセプトみたいなものがあるのでしょうか?

煮:一貫したテーマみたいなものを決めている訳ではないんですが、根っこの部分では、僕は「人間の泥臭さ」みたいなものを表現したいなって思っています。泥臭くてもちゃんと生きてる、人間讃歌的なところを出したいというか。

K:なるほど!それは確実に歌詞から伝わってきています。やはり経験が盛り込まれているんでしょうか?

煮:自分が見て感じたこととか経験したことは、フィクションと織り交ぜて楽曲に落とし込めたらいいなと思いながら作っています。メッセージ性のあるものを今後もやっていきたいですね。

K:何曲か聞かせていただいた段階で「歌詞がとんがってる!」ということに気づいて、それからは動画の歌詞を追うようになって、のめり込んでしまいました。

煮:没入感みたいなものはすごく大事にしてます。

K:はじめて聞く人もきっとのめり込んでしまうんじゃないかなとは思います。この記事をきっかけに初めて煮ル果実さんの曲を聞く人もいると思うのですが、1曲だけ聴いてもらうとしたらどの曲でしょうか?

煮:どれかな、、、、「トラフィック・ジャム」ですかね。僕の曲の中では入りやすいかなとは思います(笑)。

K:やっぱり「トラフィック・ジャム」ですか!僕はまんまとこの曲でハマってしまいました。

煮:コミカルな感じを出しつつもテーマは重め、みたいな。重いけど音楽は軽快に進んでノリがいい感じ、という曲です。VOCALOIDだからこそ作れた曲で、僕の中ではVOCALOIDで作るダンスミュージックのひとつの完成形だったと思っています。

K:「トラフィック・ジャム」の中で音楽的にこだわった部分や特徴はどんなところでしょう?

煮:繰り返しをたくさん使っていて。ミニマルなフレーズを多く入れたというのはあります。狭い世界観、テーマの中でどれだけ遊ぶか、みたいなことを考えて作りました。

K:なるほどー!もう1回聴きたくなっちゃいますね!

煮:そうですね、ぜひ!何回も聴ける、何回も聴くと噛んで味が出てくる音楽を作りたいなといつも思っています。

K:スルメ曲ですね。「トラフィック・ジャム」はスルメ曲の匂いがします。nanaユーザーの皆さんもきっとハマってくれると思います!

煮:「トラフィック・ジャム」はそのへんがすごく良くできたんじゃないかと思ってます!

大好きでありつつも縛られない「ギターとベース」。

K:「トラフィック・ジャム」だけでなく、他の曲でも声の処理に特徴がありますよね。最初に聞いた時に「これ誰の声だろう?」と思いました。

煮:「トラフィック・ジャム」のVOCALOIDはflowerです。1曲目は初音ミクでしたけどその後は色々なVOCALOIDを使ってます。初音ミクはどの曲にも合うんですけど、僕のメッセージとか、ロックな曲にはflowerが合うなと思って、よく使ってます。

K:そうかーこれはflowerの声でしたか、、、!声の質感も特徴あるなと思ったんですが、ミキシングもご自身でされているんですか?

煮:「トラフィック・ジャム」はミキシングもマスタリングも頼んでますけど、全体的には自分でやることが多いです。

※ミキシング:完成した楽曲を一般の再生環境で聞けるようにしつつ音をカッコよくする作業。マスタリングはさらにその先の最終仕上げ工程。

K:歌い上げる感じの音ではなくて、広がりがあって、刺さる音というか。声の処理もとんがってますよね。

煮:自分でも攻めた音だなと(笑)。

若い人だけじゃなくて、昔から色々な音楽を聴いてきたような人にも「これ新しい!」と思ってもらえるようにしたいなと思ってます。

K:まんまと「新しいなー」と思ってしまいました(笑)。ギターリフが目立つ曲が多いかなと思ったんですが、得意な楽器はギターとベースなんでしょうか。作曲はギターを使うことが多いですか?

煮:そうですね、楽器はギターとベースができます。けど、ギタープレイヤーになる!みたいなものはなくて、純粋に作曲のための一要素、という感じです。

K:ギターに縛られることもなく、ギター入れたい時にギター入れる、みたいな?

煮:そうですね、最近特にそうかも知れないです。前はギターロックみたいのをやりたいと思っていたんでギター中心だったんですけど、自分が表現したいものを制限してしまうなと思うようになって。ギターもベースもめちゃめちゃ大好きなんですけど、それだけに縛られない曲作りをしたいなと思うようになりました。

K:縛り作っちゃうと離れられなくなることもありますからね。。。ちなみにギターもベースもお好きということで、好きなギタリストをお伺いしても良いでしょうか?

煮:ギターだったら長岡亮介さんっていう人がすごく好きで。

主張はしすぎないけど、すごく目立って、いいギター、みたいな。これくらい弾けたらいいなって思ってます。ベースだったらレス・クレイプールさんっていうベーシストがすごく好きです。

K:おお!

煮:変態ベーシストなんですけどね(笑)。テクニックがすごいんですけど、従来の音楽には無いことをするというか、普通のベーシストが絶対にしないことをするというか。そういうところがすごくカッコいいんです。最初に聞いた時に「これがベースなの?!」って思いました。

K:きっと煮ル果実さんの楽曲にも反映されているんですね。

煮:そうですね、だいぶ影響受けてます。

K:ちなみに打ち込みは何を使って制作しているんですか?nanaの伴奏者さんも読んでくれると思うので、制作環境についても少しお伺いできればと。

煮:打ち込みはLogic Proというソフトを使ってます。mac使いはじめてLogic Pro使い始めたら他のものを使う気はしなくなりました。昔はWindowsでSONARとかも使ってました。

※Logic Pro/SONAR:曲をパソコンで制作するためのアプリ(ソフトウェア)。

K:OS乗り換え組ですね。

煮:あ、でも乗り換えっていうか、Windowsとmacの間はだいぶ空いてるんですよ。それこそボカロ活動しはじめてMacBook Pro買った感じです。スマホでGarageBand使ってた流れで。

当時IK Multimediaのオーディオインターフェースをつなげて遊んでました。iPhoneにギターを録音できるっていうのがすごく画期的で。

※GarageBand:mac/iOSで使える音楽制作アプリ。

K:画期的でしたよね!GarageBandもすごく良く出来てますし。

煮:その流れでLogic Proで、今に至るっていう感じです。オーディオインターフェースとLogic Proだけでほとんど全部できちゃいますし、なんならGarageBandだけでもかなりのところまでは作れるので、もっと気軽に作曲する人増えたらいいなと思ってます。

K:比較的シンプルな環境で、あのカッコいい曲が生まれているんですね。これから打ち込みする人は嬉しい話じゃないかと思います。

煮:あ、でもヘッドホンだけはこだわってます。ボカロPさんに教えてもらった機種なんですけど、K712っていうヘッドホンです。

K:AKGですね、K712っていうことはオープン型?

※オープン型:聴いている音楽が外に漏れる、一般的には驚きのヘッドホン。その構造によって音を出すユニットの動きが自由であるため伸びのあるスピーカーで聴いたような音が得られるのが特徴。
※前職の関係で編集長Kはヘッドホンオタクです

▲煮ル果実さんご愛用のAKG K712

煮:そうです、オープン型です。楽なんですよ、装着している時に耳が疲れなくて。制作始めると長くて5時間6時間やってることも多いので。自分にあったヘッドホンで制作すると作業効率もクオリテイも上がるっていうことに気づいて。自分に合ったもの使うって大事だと思います。

ご本人アカウントのきっかけは?〜後ろめたさを持たずに楽しんでもらいたい〜

K:煮ル果実さんはオフィシャル伴奏をnanaに投稿していただいているのですが、きっかけはどのようなことだったんでしょうか?

▲最初の投稿は「紗痲」

煮:いやほんと、みなさんに盛り上がっていただけたらいいなと思って。

K:煮ル果実さんはpiaproで歌ってみた用の伴奏音源を配布している訳ですが、そんな中わざわざご本人に投稿していただけて嬉しいです。ユーザーの皆さんも安心して歌えているんじゃないかと思います。

煮:そういうところもちょっと考えてます。自分で投稿した方が混乱もなくていいかなと思って。歌う人も含めて、ものづくりをする時に後ろめたさを感じながらやるのって良くないと思ってて。nanaユーザーの皆さんにもそういう後ろめたさを感じずに楽しんでもらいたいなと思って投稿をはじめました。

K:nana自体はどこで出会ったんでしょうか?

煮:ボカロの人達も結構投稿してますし、有名でしたよ。気軽にみんなで歌って楽しめるアプリがあるって。自分の曲も軽い感じで歌ってもらえたらいいな〜と思ってました。

K:なるほどー。ボカロ界隈では知名度があったということですね、ありがたいことです。

煮:やってない人もいますけどね、僕はもっとやったほうがいいんじゃないかなと思ってます。

K:ご本人にやっていただけると本当にありがたいです。配布、許諾されている音源なら問題はないんですが、ご本人への基本的なリスペクトが欠けているなと感じる投稿もあって。紹介するとかリンクを貼るとか基本的なことなんですけどね。かと言って二次創作の良さ、楽しさをスポイルするようなことはしたくないので、ご本人がいるというのは本当に心強いです。

煮:ボカロ文化自体が二次創作の楽しさが積み上がってここまで来ているものだと思うので、原作を大事にしつつ文化が発展していければいいなと思ってます。ほんとnanaさんなんかは、ご本人とコラボできるっていうファンとしては夢のようなサービスだと思うので、これからも発展をお祈りしています。

K:嬉しいお言葉ありがとうございます!そんな煮ル果実さん、nanaでは通知が大変な事になっているんじゃないかと思うんですが(苦笑)、みなさんの投稿を聞きに行くことはあるんでしょうか?

煮:結構通知すごいです!全部は無理ですけど、たまに聴いてますよ、ランダムで。いつもすごいなと思うのが、こんな歌いにくい曲を歌ってくれるというのがすごいなって(笑)。

K:たしかにボカロ曲のメロディーラインって人間が歌えるように出来てないものもたくさんありますからね。

煮:僕の曲は特にその傾向が顕著だと思います(笑)。メロディーがややこしかったり、そもそもこれメロディーか?みたいな部分もあったりするし。それでも歌ってくれるというのが本当に嬉しいです。

楽器でコラボしてくれた人もいましたね、アコースティックギターだったかな。別に僕からコードや音源を提供した訳ではないので、自分で調べて演奏してくれたんだと思うんですよね。楽曲に向き合ってくれたんだなというのが伝わってきて、本当に嬉しいです。

K:今後、こだわりたい人がもっとこだわれるようにということでステレオ化、投げ銭なども検討していますので、ぜひ引き続き伴奏投稿お願いいたします!

煮:あ、それは正直ありがたいです!WEBアップロード機能のおかげで簡単に投稿はできるんですけど、わざわざnana用のモノラル音源作らないといけないので。ステレオ化と投げ銭があればもっとボカロPさんも増えると思いますよ。

K:ありがとうございます!煮ル果実さんにそう言っていただけると心強いです

なるほど納得、名前の由来。とにかく面白いことをやりたい!

K:最後になりますが、どうしてもお伺いしたいことがありまして。お名前とアイコンがすごく印象的だなと思いまして、この由来をお伺いしても良いでしょうか?

▲煮ル果実さんのアイコン・プロフィール画像

煮:色々な雰囲気、色々な味のある曲を作りたいと思っていて。そういう色々な、というのから何が連想できるかなと思った時に出てきたのがフルーツだったんですよ。色も味もいろんなものがあるじゃないですか。ごった煮、みたいな。

K:なるほど〜!確かに。色とりどりですよね、果物。

煮:「煮る」っていうのは、ごった煮だけでなくて”nil”なんですよ。「無い」っていう意味です。nilと果実をくっつけて、存在しない、誰も聴いたことのないような音楽を作れたらいいなっていう意味で「煮ル果実」です。

K:深いですね、、、でも納得です。なるほどー。いい名前ですよね、絶対忘れないですよ。

煮:ありがとうございます!わかりやすい、覚えやすいのがいいなとは思っていたんで、良かったです。

K:アイコンはどういうイメージなんですか?

煮:友人に描いてもらったんですよ。フルーツキューブっていうのがあって、果物を四角くきって重ねたみたいなやつなんですけど。名前から連想されるフルーツキューブを描いてもらった感じです。カラフルなものも好きだし、無機物的な感じがいいな〜って。

K:nanaの運営をしていると相当な数のアイコンを見るんですけど、これは忘れないです。

煮:それはすごくありがたいです、良かったです。

K:色々とお伺いしてきたんですが、今後の活動のビジョンみたいなものがあれば教えていただけますか?もうすぐ新曲出す、とか具体的なものでもいいんですけど。

煮:もうすぐ新曲出します(笑)。

K:まさかの本当に新曲(笑)。

煮:新曲以外の全体的なことで言えば、VOCALOIDではもっとやりたいこと、表現したいこともたくさんあるので、これからも継続してやっていこうと思ってます。ただ、VOCALOIDだけに縛られず面白い表現みたいなものもできたらいいなとも思ってますね。それが何かはまだちゃんと決めてないんですけど。

▲現在ニューアルバムも制作中とのこと!ジャケットを特別に見せていただきました。

K:イメージが大事ですよね。

煮:そうですね、とにかく面白いことしたいです!みんなの心が救われるような面白いことをしたいなと思っています。

K:ありがとうございます、楽しみにしています!ちなみに新曲の聴きどころ、教えていただければ記事に掲載できますがいかがでしょうか?

煮:えーと、、、まぁいつもどおり煮ル果実な曲なんですけど、、、

K:(笑)

煮:いや、でもいつもどおりじゃないんですよ(笑)。今回は蜂屋ななしっていうボカロPさんと一緒に作った曲なんです。

僕が作詞作曲、編曲もしているんですけど、蜂屋ななしさんに編曲を手伝ってもらったコラボ色のある曲です。僕のサウンドが好きな人には満足してもらえるような仕上がりになっていると思います!

K:nanaユーザーさんも歌えそうな曲でしょうか?

煮:歌ってもらえると思います!nanaにも早く投稿して、みなさんの反応が早く見たいなと思っています。

僕の曲って歌いにくいっていうイメージあると思うんですけど、今回の曲は歌いやすいっていうか口ずさみたくなるっていうか、そういう曲になってますので、それが聴きどころです。

K:それは楽しみです!!投稿お待ちしています。今日はありがとうございました!

煮:こちらこそ、ありがとうございました。


煮ル果実さんのインタビュー、お楽しみいただけたでしょうか。

ワタクシは何より立ち上げからわずか2年!という点に驚きを覚えました。色々なミュージシャンの方とお会いしてお話をする機会がありますが、はじめてから2年というのは驚異的なスピードではないかと思いますし、これから音楽制作をやってみたいと思っている人にも励みになるお話だったのではないでしょうか。

インタビュー後に記事内にもありました煮ル果実さんの新曲が公開されましたので、紹介させていただきます。今回は煮ル果実さんの新曲を聞きながらお別れと致しましょう。

お読み頂きありがとうございました!

取材・執筆・編集:編集長K

▼煮ル果実さん待望の新曲「イヱスマン」
インタビュー終了から公開までの間に煮ル果実さんの新曲が公開されました〜\(°×°)/

そのほか、煮ル果実さんがnanaに投稿されているサウンドを以下紹介致しますので、ぜひコラボしてみてくださいね!

ボカロPさん突撃インタビュー