

ユーザーピックアップインタビューvol.36 カラオケちゃんねるさん 〜コロナ禍に始動した新しい音楽活動〜
Apr 29, 2022人気コーナー、ユーザーピックアップインタビュー今回はnanaアワード2021 DTM伴奏被コラボ数部門で準グランプリを受賞されたカラオケちゃんねるさんへのインタビューです。
最初の投稿は2020年の12月17日。以降ハイクオリティ伴奏を投稿し続けるもののあまり多くを語らないスタイルから謎の多いユーザーさんのひとり。興味を持っている方も少なくないのではないでしょうか。
最も人気の伴奏はこちらの「怪物 / YOASOBI」。
今回のインタビューではカラオケちゃんねるさんの素顔、そして使っている機材など、普段のnana投稿では見えない部分について色々お伺いすることができました。
ぜひお楽しみください😉
目次
高校生前の春休みに出会ったギター。専門学校を経てプロに。
アヴリル・ラヴィーンが同い年、ルーツはマリーナ・ショウ。
たくさんの人が歌を趣味に選べるように。〜コロナ禍での環境変化から伴奏投稿に挑戦〜
伴奏を支える録音システムとソフトウェア群。今後は三味線投稿も!?
編集長K(以下K):この度はインタビューお受け頂きありがとうございます。また、nanaアワード受賞おめでとうございます。今日はよろしくお願いいたします!
カラオケちゃんねるさん(以下カ):受賞できるとは思っていなかったのでびっくりしました。よろしくおねがいします。
高校生前の春休みに出会ったギター。専門学校を経てプロに。
K:早速ではありますが、カラオケちゃんねるさんのプロフィール、音楽歴などを教えて下さい。
カ:仕事はギター演奏や作曲、編曲などをしています。テレビのBGMとかも結構作っています。最近はYouTubeとnanaで歌ってみた用の伴奏投稿をしています。
音楽歴としては、高校に入る頃にギターをはじめました。出身は大阪なんですけど東京に出てきて、音楽の専門学校に入学しました。

K:いきなりギターからはじまったんですね!ギターを始めたきっかけを教えて下さい。
カ:友達にギター借りたのがきっかけです。
高校に入る前の春休みだったと思うんですけど、入学前で暇で(苦笑)。友達にギター借りたらハマりました。ちょうどゆずが流行っていて、練習してコードを覚えました。その後はGLAYをコピーしてアルペジオを覚えた、みたいな。
K:定番!その頃のGLAYでアルペジオだとグロリアスとかですかね。僕の頃はBOOWYとかUNICORNが多かったので、僕とは1世代ずれてますね。
カ:バンドやる人は全員GLAYかラルク(L’Arc-en-Ciel)でした(笑)。あとはジュディマリ(JUDY AND MARY)も多かったかな。
K:子供の頃音楽をピアノを習っていたとか、子供の頃に音楽の世界に関係しそうな出来事はなかったのでしょうか。
カ:全くないですね、なんにも無いです。いきなりギター始めたんです。
だから専門学校に入った後もバンドでデビューしたいとかは全然なくて。むしろバックバンドとかスタジオミュージシャンに興味をもって、仕事でやりたいなと思うようになりました。
K:最初の音楽仕事はどんな仕事だったか、覚えていれば教えて下さい。また、どうやって最初のお仕事にたどり着いたのでしょうか。
カ:専門学校を卒業して、その後も専門学校の先生に個人的に編曲を教えてもらっていたんです。その先生がコンペに出すためのアレンジを頼まれたのが最初で、アニメ関係の曲だったと思います。実力もまだまだだったので、先生に助けてもらいつつ仕上げました。
その後は編曲の他にもバックバンドの仕事とかもしていました。事務所に所属していないシンガーの子たちのバックバンドとか。人づてで少しづつ広がって、色々な人から依頼をもらえるようになりました。
K:地道にスタンダードな手法で道を極めて行ったんですね。音楽の世界では人を大事にすること、やめないことが大事だなと改めて感じました。
カ:そうですね、やめないことはすごく大事だと思います。
アヴリル・ラヴィーンが同い年、ルーツはマリーナ・ショウ。
K:影響を受けたアーティストや好きなアーティストを教えて下さい。
カ:アヴリル・ラヴィーンが同い年なんです(笑)。同い年だしめっちゃかわいいなって思って(笑)。それがきっかけで洋楽を聴くようになりました。
その後はオフスプリング(THE OFFSPRING)とかグリーン・デイ(Green Day)とかを聴きました。
MIXTUREとかに行きかけたんですけど、その頃マリーナ・ショウを勧められて感動したんです。こんな音楽がこの世の中にあるんだ!って思って。
そこからはソウルとかディスコにハマりました。その辺が今の音楽性のルーツになっている気はしますね。
K:nanaの投稿を見ているだけでは全くわからなかったルーツが見えてきました。ちなみに、nanaで色々な方とのコラボがあると思いますが、コラボしてくれたユーザーさんに1曲だけ勧めるとしたら、何を聞いてもらいたいですか?
カ:そうですね、、、POPSやるならTHE BEATLESは聞いておいた方がいいと思うんです。原点なので。ただ、なんの文脈もなくいきなり聞くだけではなくて、当時の背景とかも勉強した上で聞いてみるとさらに面白いと思うんです。あの時代にこの曲があったというのがすごいと思うんです。
あとはアレサ・フランクリン。音楽に感動することの原点があると思います。
K:THE BEATLESの中ではどの曲をお勧めしますか?
カ:1曲に絞るのが難しいんですけど、Come togetherが一番よく聞いていると思います。
K:いいですね〜!確かに1曲に絞るのは難しいですね。
たくさんの人が歌を趣味に選べるように。〜コロナ禍での環境変化から伴奏投稿に挑戦〜
K:nanaとの出会いを教えて下さい。音楽の仕事上で出会ったのか、それ以外のところで出会ったのか気になります。
カ:月に3〜4本ライブ仕事があったんですけど、コロナ禍になってから全くなくなってしまったんです。それで暇になってしまって、自分にできることは何かなと考えた結果、伴奏制作と歌ってみたのMIX師をはじめました。クオリティの高い使えるカラオケ音源が欲しい人は多いんじゃないかなと思って。
YouTubeで投稿を始めたんですけど、そこから情報拡散を考えた時にnanaを見つけました。あ、このアプリすごくいいじゃん!って思って、すぐに登録しました。
K:YouTubeとnanaの音源はある程度共通だと思うのですが、1曲作るのにどのくらいの時間がかかっているか教えて下さい。
カ:基本的には1日で1曲作りたいなと思っています。
K:おおお〜!
カ:でも実際は(笑)トラック数多い曲だと1日半くらいはかかります。ギターは生演奏なので、ギターだけ次の日とか。

K:早いですね、さすが本職です。選曲の基準はあるのでしょうか。
カ:基本的には需要がありそうな曲を作っています。昔なつかしい曲とか洋楽も作っていますが、再生数は全然伸びません(苦笑)。
K:最初にnanaを使った時の感想を教えて下さい。
カ:コラボの通知とかリアクションがダイレクトに来るのですごくいいなと思いました。コラボ先にすぐ飛べるので、こんな感じで歌ってくれるのか〜とか簡単に聞くことができてすごく楽しいなと思いました。色々な人がいるし、めっちゃ上手い人もいて、驚きましたね。
K:YouTubeとnanaだとどちらがコラボされやすいと感じますか?
カ:曲によります。nanaの方がコラボが多い曲もありますよ。通知も来るので追いかけやすいというのもありますけど、nanaでは結構コラボされる印象があります。「怪物/YOASOBI」とかはすごいコラボしてもらえました。あとはnanaからYouTubeを聞きに行ってくれる人も結構います。
全然関係無いんですけど、最近趣味でゴルフをやるんですよ。ゴルフの世界ってプロもいますけど、レッスンプロみたいな人もたくさんいて、全員がプロを目指しているわけではなくて、すごく裾野が広いんですよね。
音楽も同じようにもっとたくさんの人が音楽や歌を趣味として選ぶ、趣味として楽しんでくれるようになったらいいなと思っていて、その手助けになればと思っているんです。
そういう意味で、nana、めっちゃいいなと思うんです。確かに長い尺の曲も投稿できたらいいなとは思いますけど(苦笑)、気になるところってそれくらいなんですよね。
K:スマホで誰でも簡単に歌の録音ができるのがnanaのいいところなので、もっと広げていけるように頑張ります!
伴奏を支える録音システムとソフトウェア群。今後は三味線投稿も!?
K:ひとつだけ聞いてもらうとしたらどのサウンドがお勧めですか?
カ:そうですね、どれも気に入ってるんですけど、、、POP SONGとかかな。あとはヨルシカさんがめっちゃ好きで。ヨルシカ伴奏はぜひ聞いてもらいたいです。
あとは藤井風さんの「きらり」。
めっちゃ難しいんです、作るのが。全曲耳コピなんですけど、この曲はコードを拾うのが特に難しかった曲です。結構無茶な進行だけと違和感なく聞ける、すごい曲だなと思いました。
K:マニア向け情報になりますが、打ち込みではどのような音源を使っているのでしょうか。
カ:Trilianはずっと使っています。Trilianは最高です。あとドラムはBFD。あとはKompleteの音源を色々と。比較的スタンダードなものが多いですよ。あと、DAWはDigital Performerです。
※英単語の数々は音楽制作ソフトの製品名です。パソコン上で様々な楽器の音を出すためのソフトウェア(プログラム)をソフトウェア音源と呼びます。
Trilian:SPECTRASONICS社が販売するベース音源。
BFD:FXPANSION社が販売するドラム音源。
Komplete:NATIVE INSTRUMENTS社の音源プラットフォーム。
※Digital Performer:MOTU社のDAWソフトウェア(音楽制作ソフトウェア)。通称デジパフォ。
K:デジパフォ勢!
カ:珍しいですよね?(笑)変えるタイミングがなくて、ずっとデジパフォです。専門学校で習った時にデジパフォで、そこからずっと同じです。Studio Oneが評判良さそうなのでいずれと思いつつ、5年位経ってます。
K:ちなみに機材もですけど、ギター、すごいですね!nanaに投稿されているのもこのギターの音ですか?
カ:メインは2本あって、あとはアコギが1本、ガットが1本あります。nanaに投稿されている音源でもこの辺のギターを使ってます。
このマイクのセッティングがギター録音用で、ここで弾いて録音しています。

K:エレキギターの場合はどういう方法で録音しているのでしょうか。
カ:エレキの場合はラインで録って、パソコン内のアンプシミュレータで音を作ってます。
K:ギターだけで投稿する予定はありますか?
カ:そういえばギターだけで投稿したことないです。それいいですね、今度やってみます。
あと、この三味線を最近買いました(笑)。
K:三味線!なぜ急に!?
カ:特に理由はないんですけど(笑)、友達の元アイドルの子が民謡をやり始めるって言ってて。じゃあ三味線やろうかなみたいな。その子に演奏で同行してツアーでもやりたいなと(笑)。

ほんとはシタールもいいなぁと思っていたんですけど、場所取るなと思って三味線にしました。
K:いきなりですね(笑)。誰かに教わっているんですか?
カ:いえ、独学です。
バチが結構難しいのでピック弾きにしてサボったりしながら勉強しています(苦笑)。いずれは三味線と遠い音楽とのコラボ、例えばヒップホップとコラボした音源とか作ったら面白いかなと思っています。
でも三味線って録音も難しくて、ちょっと録ってみたんですけどなんともならない感じでした。
K:そうなんですよ、純邦楽系の楽器はオンマイクだけで録音しても全然雰囲気が出ないので難しいんです。和太鼓とかも相当難しいです。今度ゆっくりお話しましょう(苦笑)。三味線投稿お待ちしています!
そういえば、歌は歌わないんですか?
カ:歌は全然ダメです(笑)。
K:最後にユーザーさんにメッセージがあればお願いいたします。
カ:ほんと、たくさんコラボしていただけてめっちゃ嬉しいです。たくさん使ってもらえればと思いますので、これからもよろしくお願いします!
K:本日はありがとうございました。
カ:こちらこそ、ありがとうございました。
カラオケちゃんねるさんへのインタビュー、いかがだったでしょうか。音楽を仕事にしたいと思っている方にとっては大変貴重なインタビューになったのではないかと思います。
音楽を長く続けている方とお話していつも面白いなと感じるのが、ひとりひとり異なるルーツをお持ちだということです。カラオケちゃんねるさんの人気伴奏は「怪物」ですが、他にも様々な曲の投稿をされており、それぞれ高度な作り込みを感じることができます。その下地には、幅広くたくさんの音楽を聞いてきたというバックボーンがあるということを感じました。
ぜひ本記事をきっかけに、また、nanaアプリの投稿をきっかけに色々な音楽に触れてみてください。新しい発見があると思いますよ!(^o^)
取材・執筆・編集:編集長K