

ユーザーピックアップインタビューvol.31 宇迦さん 〜京都と北海道、和風台本に込められた美しき2つの世界〜
Jul 02, 2021気になるユーザーさんにインタビューしていくこちらのコーナー。今回は和風声劇台本といえばこの人、宇迦さんへのインタビューです(^O^)
https://nana-music.com/users/2349826
声劇台本には色々な種類があります。ファンタジー、恋愛、コメディなどなど。そのひとつのジャンルとして数は少ないのですが和風台本というものがあります。
京都に代表されるような和の雰囲気や美しい情景を連想させる台本が多い和風台本カテゴリ。人気和風台本を投稿されている宇迦さんのルーツを探るべく、インタビューを敢行致しました!
宇迦さんって、、、、京都の人?聞いてみましょう!
目次
とある台本に感動!続きを書きたくて投稿した最初の台本。
編集長K(以下K):本日はお時間いただきありがとうございます。読み方って、「うか」さんでいいんです、、、よね?
宇迦さん(以下宇):はい、「うか」で大丈夫です(笑)。よろしくおねがいします!
K:twitterを見るまではお名前、台本の内容とアイコンから、20代後半くらいの男性かなと勝手に想像していました。
宇:よく言われます(笑)。nanaとtwitterの温度差は結構すごいです。
K:nanaだけ見ていると謎が多いなということでインタビューさせていただきました。
まず、どのような経緯で台本を投稿するようになったのか、背景やきっかけなどを教えて下さい。プロフィールに前世は雑草と書いてあったので経緯が気になりまして(笑)。
宇:前世雑草は台本とは全く関係なくて、みなさんプロフィールを見に来てくれるので、気にしてもらうためにふざけて書きました(笑)。
K:まんまと食いついてしまいました(笑)。
宇:ありがとうございます。サンケーさんもインタビューで国語が得意じゃないと仰っていたんですけど、私も勉強得意じゃなくて。漢字とかすごく苦手なんですよ。小説を読むわけでもなく、漫画を読むわけでもなく。特技もなくて平凡すぎる幼少時代でした。
そのまま高校生になった頃に、友達が小説を投稿しているという話を聞いて。
K:それで小説を投稿したという流れですか?
宇:いえ、その時はなにもなくてそのまま社会人になったんです。仕事をしていない時期があって、暇すぎて色々考えている時に京都にハマっていたんです。京都のお話をもやもや考えていて、その時に小説投稿サイトを思い出して投稿するようになったんです。
▼宇迦さんの小説投稿
https://estar.jp/users/140033905
K:nanaへの初投稿もその流れで?
宇:nanaっていうアプリ自体は高校生の時から知ってたんです。バンドを組んでて、歌を投稿していたんですよ。社会人になって歌でも歌おうかなーってまたnanaをインストールしたんですけど、その時に声劇っていうのをピックアップの紹介から見つけたんです。
K:声劇をやっていたというわけではないんですね。
宇:声劇を見ていて和風台本というのがあって、最初に見つけた和風台本が好きすぎて。京都のお話がもやもやしていたこともあって、どうしても続きを書きたくなっちゃったんです。
K:なんと!最初の台本は誰かの台本の続きなんですね!
宇:そうです。「冬でも会いに行くよ」っていう台本です。
K:「冬でも会いに行くよ」の元になった台本を教えていただけますか?
宇:はい、「京都で出会ったのは…」っていう櫻井朔夜さんの2人声劇です。すごく知的な台本なんです。
K:宇迦さんはこの台本で声劇投稿したんでしょうか。
宇:しましたけど消しちゃいました(苦笑)。
K:最初の台本投稿ってかなり緊張されたと思うんですが、どういうモチベーションや想いで投稿されたか覚えていたら教えて下さい。
宇:最初はフォロワー何人っていう世界だったので、読んでもらえるんだろうかっていうのはすごく不安でした。最初の台本なので、ストーリー的に成り立っているのかなとか、90秒に収まるのかなとか、色々心配でした。自分で読んでみて、自己満足はできていたんですけどね。
K:それで投稿してみたらリアクションが良かった、と。
宇:そうですね、掛け合いというのもあってリアクションは良かったです。掛け合い台本は探している人が多かったみたいで。
K:確かに全体の割合で見ると1人声劇台本が多いので、掛け合いの需要は高いでしょうね。データで見てみると、宇迦さんの台本でいちばんコラボが多いのは今でも「冬でも会いに行くよ」なんですね。
宇:そうなんですよ。2人声劇なので、フォロワーが多いユーザーさんがコラボしてくれると、そこにコラボする人がたくさんいて、コラボが増えるみたいです。
K:投稿してみていかがでしたか?
宇:nanaの声劇コラボだと小説と違って音がついてくるので、想像がしやすいんだなって。それがすごく楽しくて。あとはいろんなオリジナル伴奏(BGM)があって、音で演出できるのも小説と違って楽しいです。クセになるっていうか(笑)。

K:音があるというのはnanaならではですよね。
宇:最初は自分の世界を文字に出して、それをみんなが読んでくれるというのが楽しかったんですけど、途中から自己満が強くなってきて(笑)。最近は思いついてただ書きたいものを書いているっていう感じです。
K:次第に投稿ペースが上がっているのはそういう理由なんですね。一日に複数の台本を投稿されている時もありますよね。
宇:そうです、思いついたら投稿しているので(笑)。最初は90秒に収まるかとか、BGMを探すとか、言い回しが思いつかないとか色々必死だったんですけど、だんだん慣れてきたんです。ポンポン出てくるようになってきて。
K:なるほど。思いついた!投稿!みたいな。
宇:忘れちゃう前に書かないと(笑)。
K:台本ってすごく国語的なものだと思うので国語的な背景があると思っていたんですけど、突如始まってその流れで今に至るんですね。
宇:すべてにおいて突発的なんです、私。
北海道の綺麗な自然を台本に。
K:台本の種類としては、和風が多いですよね。
宇:はい、和風が主です。
でも自分の中で整理がつかない気持ちとかを台本にすることもあって。愚痴りたいけどtwitterに書いたらフォロワー減るなみたいなの、あるじゃないですか。ツイートしちゃうとあまり良くない内容でも、ちゃんと台本にまとめたら綺麗なものになるっていうか。そうすると共感してくれる人も多いんです。

K:宇迦さんにとっての台本制作は、ミュージシャンが曲を書くのに近いニュアンスがあるんですね。
宇:そうですね。自分の中に溜めちゃうとキャパオーバーを起こしてしまうので、台本にして出す、みたいな。
K:現代って溜まっている想いを自己発信で形にできるようになったなと思っているんです。台本もそういう表現のひとつなんだなと感じました。
和風台本が多いのは、和がお好きだから、、、ですか?和風台本へのこだわりなどもぜひお伺いしたいなと。
宇:最初はただ純粋に京都が好きっていうのが理由でした。最近は自分の内面を出した朗読台本も投稿するんですけど、それとは違った「透き通った台本」を書きたいという想いがあって。
北海道に住んでいるんですけど、自然が豊かで四季を感じやすいんです。そういうものを反映した台本ってあんまりないじゃないですか。純粋に自分たちが生きている世界は綺麗なんだよっていうのを形にしたかったんです。なので、四季を題材にした台本は多いと思います。
K:北海道なんですね!

宇:そうなんです、京都じゃないんです(笑)。
K:北海道の素晴らしい自然が和風台本に表現されているんですね。
宇:毎日色々なノイズがありますけど、ノイズが止む瞬間ってあるじゃないですか。北海道だとノイズが止んだ瞬間に色々な生き物の声が聞こえることがあるんですよ。道路もあるけどその向こうに動物がいる、みたいな。そういう刺激を毎日受けているので、台本に影響していると思います。
K:宇迦さんの台本からは情景を感じるものが多いですよね。特に夕暮れを感じるものが多いなと思いました。北海道のどのあたりなんですか?
宇:北見市です。オホーツク側で、北海道で一番面積の広い町じゃないかなと思います。
K:オホーツク側、いいですねー!ちなみに京都には?
宇:修学旅行で行っただけです(笑)。
でも修学旅行の自由行動で京都を歩いた時の景色はとてもよく覚えているんです、細かいところまで。夜に鴨川沿いを歩いていたんですけど、京都は景観維持で明かりが独特なので、優しいオレンジの光が並んでいて、これが京都の夜か、って。等間隔にカップルはいるんですけど。
K:それはいつの時代も同じです(笑)。京都に行くことがあったらぜひ嵐山の竹林の小径にいってみてください。宇迦さんの台本のイメージに合うと思うんですよね。
夏の終わりから感じた輪廻。
K:色々な台本がありますが、思い入れのある台本をひとつ教えて下さい。
宇:選ぶの難しいんですけど、ひとつ選ぶとしたら「輪廻」っていう台本があるんです。すごく良くできたと思っているので、ぜひ読んでもらいたいです。
K:いつ頃の台本ですか?(探し中)
宇:去年、、、かな。この台本は自分の中では初心に帰れる台本なんです。台本を書くのに行き詰まった時にここに帰ってきています。書いた時すごく楽しくて、その気持ちを確認する、みたいな。
K:あった!輪廻って、、、2つありますか?
宇:「輪廻」と「輪廻転生」があるんです。「輪廻転生」は「輪廻」の続編というか、別バージョンみないな。
K:この台本を書いたきっかけや背景があれば教えて下さい。
宇:書いたのは確か夏頃です。外に出るのが好きなんですけど、どこかの景色を見て「綺麗だな」って思ったんですよ。もうすぐ夏終わるなって感じて。夏は終わるけど全部は終わるわけじゃない、みたいなことを考えていて、この台本になりました。
▼台本を投稿した日のツイートにあった夕焼け。とても綺麗ですね。
K:その感じたことが宇迦さんの世界観でこの台本に昇華されたんですね。
宇:1行書いて、うわーって全部書いた気がします。そこから削って。最初はもっと長かったんですけどね。
K:この台本でも「微睡み」とか出てきますけど、小説や国語が好きというわけでもないのに、普段生きてて使わない表現が入ってくるのが面白いですね。どこかにルーツみたいなものがあるんでしょうか。
宇:小説読まないわけではないんですけど、こういう表現がある小説は読まないしな、、、なんでしょうね(笑)。
K:わかったら教えて下さい(苦笑)。
狐が大好き!やっとたどり着いた宇迦さんのルーツ。
K:最近お名前が短くなったのには理由があるんですか?以前は「深草宇迦さん」だったと思うのですが。
宇:昔はもっと長い名前だったんですよ、「宇迦之御魂」っていう。そうしたら「御魂さん」か「宇迦さん」になっちゃって、フルネームで呼んでくれる人がいなかったんです。
「宇迦さん」はいいなって思ったので、和風の雰囲気で「深草」をつけたら「深草さん」になってしまって(笑)。「宇迦さん」と呼んでもらいたいので「宇迦」だけになりました。
K:「深草宇迦さん」は凛としたカッコいい男性のイメージが強いです。何か由来はあるんですか?
宇:私、狐が大好きなんです。

で、狐といえばお稲荷さんで、京都といえば連想するのって伏見稲荷じゃないですか。京都の伏見稲荷に祀られているのが宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)っていう神様なんです。諸説あるんですけど女の神様で、名前がカッコいいなっていうことで、名前をお借りしました。
K:なるほどー!勉強になります。「深草」もなにか由来が?
宇:伏見稲荷大社が京都の深草っていう場所にあるんですよ。
K:なるほど地名でしたか。こういうツイートも見つけたんですけど、これも宇迦さんのルーツと関係があるんでしょうか。
宇:これはYouTubeでBGM MakerっていうYouTubeチャンネルがあって。そこのサムネイルがこういう綺麗な写真なんです。ここで流れるBGMが大好きで、ルーツになっているかもしれません。
K:いいですね〜癒やされます。やっと宇迦さんのルーツが色々見えてきた気がします。自然と京都、本質的に好きなものの融合なんですね。
これまでは和風台本を色々投稿していただいているのですが、今後の活動でやってみたいことがあれば教えて下さい。
宇:nanaに動画コラボがついたじゃないですか。この機能を使って、朗読してもらった台本に動画をつけてみたんです。こういうのをもっとやっていきたいなと思っています。
K:動画コラボ楽しかったですか?
宇:楽しかったです!これは画期的だと思います。
K:うにー社長が喜ぶと思います(笑)。
宇:1年に何回か歌も投稿するんですけど、この前は自分で歌った「ボッカデラベリタ」に動画つけてみました。面白かったし反響もあったんですよ。
K:意外な曲を歌っていますね!勝手なイメージでは純邦楽とかを聞いてらっしゃるのかなと(笑)。
宇:バリバリにハードコアとか好きです(笑)。SiMっていうバンドが大好きです。
K:うわ〜これは意外!インタビューしてみて宇迦さんがよくわかったような、謎が深まったような(笑)。お話していたら北海道に行きたくなってきました。登山で行くかスノボで行か、、、。
宇:スキーはやります。今年の冬はぜひボードで北海道へ!

K:もう10年以上滑っていませんので滑れるかわかりませんが、その時はよろしくお願いします(笑)。本日はお時間いただきどうもありがとうございました!
宇:こちらこそ、ありがとうございました!
魅力的な和風台本の背景にあったのはなんと北海道。
ワタクシも子供の頃に2回ほど行きましたが、それはそれは素晴らしいところです。宇迦さんのお話を聞いていて、台本から感じられるゆったりとした時間や柔らかい情景、澄んだ空気の理由がわかった気がしました。nanaるdayが続けられていたらお仕事で北海道に行けたのですが、、、いつかまた行けるようになることを祈っています。
著名台本師さんへのインタビューはお二人目だったおですが、お二方とも国語が得意なわけではないというところが驚きです。現代はnanaをはじめ様々なサービスを使うことで思いついたらすぐに作品を発表できる時代。自分の中に降りてきたものをどんどん発信することで色々なことが始まっていくんだなと、改めて感じたインタビューとなりました。
ぜひ皆さんも宇迦さんの和風台本の世界に触れてみてください!
取材・執筆・編集:編集長K