【目指せ!プロシンガー】 影技その1「高音は距離で出そう」

Jun 15, 2016

※この記事は、2016年6月15日に公開されたものを転記したものです。

関東近郊でボイストレーニングのレッスンを手がけている、ダイアモンドボイスミュージックスクールのボーカルトレーナー尾飛良幸さんに記事を書いていただきました。

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こんにちは。ボーカルトレーナーの尾飛良幸(おびよしゆき)です。

▶︎尾飛良幸さんのnanaアカウント

《尾飛良幸 プロフィール》
フリーのマルチシンガーソングライター。
シンガーソングライターとボーカリストのトレーナーとして、2000人以上の指導歴。またボーカルトレーナーの育成も精力的に行い、これまでに数十名のトレーナーを育てる。
これまでにZepp Tokyoをはじめ、約250本のライブイベントを開催。また他にも作詞、作曲、編曲家として映画、演劇、アイドル、 アニメ、ゲーム等、多方面に楽曲提供。その作風は変幻自在。
レッスンでは、アーティストのレコーディングや音源制作等もおこなう。
また自分自身もシンガーとして定期的にライブを行う。
その凛とした透明感と他の追従を許さない迫力ある歌声は「Diamond Voice」と言われている。

私が25年間で3,000人以上のボーカルレッスンで築き上げてた「歌が上手になる技」を、シリーズで紹介していきますね。

さて、早速クイズです。

・Q:高い音は、どうやって出すのでしょうか?

1:肩を落として出す
2:遠くに出す
3:お腹をへこませて腹から出す

さて、正解はどれだと思いますか?

正解は・・・

「2:遠くに出す!!」

音の高さと、声を出す距離のイメージは比例しています。

・近くの人に声をかける=音程が低くなる
・遠くにいる友達を呼ぶ=音程が高くなる

ですから、歌を歌う時も、高いところが出てきたら「遠くへ~」と思って歌えば、それほど苦労なく高い音が出るようになりますよ。逆に言うと、距離を感じないで高い声を出そうとすると、喉に閉まります!

実際、間違った出し方と、正しい出し方を、聞き比べてみましょう。

実は高い声を出すには、喉に息をとても「速く」「鋭く」流してあげるといいんです。

アルトリコーダで、高い音を出すときって、息を柔らかく吹き込むより、しっかり吹いたほうが、音がしっかり出ますよね。

ただ、声を出すときに「喉に息を流すぞ~」と思っても、なかなかどうやっていいのかがわかりづらい。

なので、「遠くへ!」と思うと、自然と息をしっかり喉に流せるようになって、高音が出しやすくなるというわけです^^

6つのチェックポイント

さて、もう少し突っ込んで、話をしますね。
お部屋でnanaを録音するとき、大きな声が出せない人のためのお話。

高い声を出すために、遠くへ声を出そうとすると、実は結構大きな声を出さないといけなくなります。私がレッスンで教えるときは、だいたい90db(デシベル)以上の声量を出すようにと指導しています。

あ、自分の声量を知るには、アプリストアで「騒音測定器」と検索すると、いろいろ出てきますよ。レッスンでは自分から2mくらいの距離に、スマホをおいてみて、声量を測っています。

ちなみに90~100デシベルって、「騒々しい工場」「電車が通るガード下」って言われてますから、かなりの声量!なので、さすがに自宅でこっそり録音するときは、無理ですね。ですからこの「遠くへ~」方法を試す場合、カラオケボックスや、バンド練習スタジオなどちゃんと声がしっかり出せる場所を選ぶ必要があります。

「そんな場所ないよ~」という方には、もう一つの高音を出す方法。それは、「裏声に近い声で出す」という方法。これは逆に小さい声から練習するといいですよ。最初に裏声を出してから、その音程を、なるべく大きく上下させます。

その時に、地声と裏声の切り替えるところが出てきますが、その切り替えを上手にできるように、何度も練習します。そうすると、小さい声でもスムーズに高い声まで出せるようにまりますね。この方法だと、とても柔らかくて綺麗な高音が出ます。ただ、声量は出てきませんので、プロ歌手のような声の深さや響きの豊かさは、出せないことが多いですね。

どちらの出し方を使うかは、歌い手の環境や、歌う歌によって使い分けるといいと思いますよ^^

さて、この高音の2つのだしかた「遠くへ!」と「裏声から!」ですが、どちらに発声法も、共通してやらないといけないことがあります。

それが「基礎」

声が上手に出ないときは、次の6つのポイントをチェックする必要があるんですね。

・良い姿勢ですか?
・口元の脱力はできてますか?
・呼吸法は正しいですか?
・声を出した時に変な癖や力が入ってませんか?
・のどがちゃんと開いてますか?
・音程とアタリがちゃんとあってますか?

この6つがちゃんと出来てると、それだけで高音出ます!

実は最初に紹介した「遠くへ!」と「裏声から!」の発声方法は、この6つのポイントがちゃんとできてないと、効果が薄いんです。。。。詳しくは、今後のこのコラムで紹介しますが、今日はまず大事な1つをご紹介しますね。

ズバリ「姿勢」

姿勢は、声を出す上で一番大事です!ほとんどの人が、発声練習しなくても、姿勢を良くしただけで、声が出るようになります。生徒さんの姿勢の例を、アップしますね。

画像1

左が悪い姿勢で、右は良い姿勢。この場合のチェックポイントは2つ!

その1:耳の位置。
頭の中心って、横から見ると、耳の前にあるんですよ。ということは、耳の前の位置が、背骨の真上に来てないといけないでしょう?背骨って、背中にあるわけですから、実は、耳の位置が背中の上に来るようにするんです!

結構後ろに感じませんか?^^

その2:胸の高さ
写真の生徒さんの左では、胸がとても落ちてますね。声を出すときに、空気を使わないと、声はでません。その空気を入れるのが「肺」。左の写真では、胸が下がって肺がつぶれているので、当然空気が入りにくくなってますね。

右の写真のように、しっかり胸を引き上げて、空気が入りやすくなるようにしましょう。毎日の生活では、次のように練習してみると効果的ですよ。

1:歩く時、電車を待っている時など、日常生活で、耳の位置を気をつけてみましょう。歌を歌う時だけ、姿勢を良くしようとしても、なかなかうまくいきません。日々の姿勢から、声が出しやすくなる状態を作れるように練習するといいですね。

2:人とお話したり、歌う時は、息をしっかりたくさん吸ってみましょう。つまり、肺をしっかり広げておく練習をするといいですね。これも普段からの心がけで、上手にできるようになりますよ。

試してみて下さいね^_^ 尾飛良幸でした。

尾飛良幸の発声法が学べるボーカル教室「DVMS」では、いつでも無料体験ボーカルレッスンが受けられます。

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ダイアモンドボイスミュージックスクール:

【ダイアモンドボイスメソッドとは】
欧米を中心とした海外トップシンガーの多くが使っている、地声を育てる歌唱法を「ベルティングボイス」といいます。 しかしその歌唱法は、アジア人にとって 骨格、体格、筋肉のつきかた、言葉の発音、あごの骨の発達の仕方、さらには自分の想いの表現方法まで、欧米の方と違いがあり、理解し習得するには非常に困難です。 そこで、アジア人が「ベルティングボイス」を習得できるようにと、尾飛良幸が独自に発展させた、アジア人の為のボーカルメソッドです。このメソッドにより、レッスンの1回めから格段に声が変化すると同時に、表現力、発音、脱力、声量、音域と、歌に関する全ての分野が劇的に改善向上していく事が可能になりました。

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